私は恋愛感情を持たない性的マイノリティ「アロマンティック・アセクシャル」を自認しています。
一口にアロマンティック・アセクシャルと言っても、いろいろな価値観を持った人がいますよね。
- 恋愛感情はなくても、結婚はしたい人。
- パートナーはいらないけど、子どもがほしい人。
そして私は、結婚も出産も望まないタイプの人間です。
最近はセクシャルマイノリティ「LBGTQ+」に対する支援の輪が広がりつつあります。
そんな中で、結婚・出産願望がないアセクシャルにとって必要な支援って何だろう?というのが今回のお話です。
そもそもアセクシャルに支援は必要なのか?
結論から申し上げると、支援が必要な人と必要ではない人がいます。
私のように結婚・出産願望がないタイプには、特に支援は必要ないと思っています。
だって考えてみてくださいよ。
結婚・出産願望がないアロマンティック・アセクシャルって、
- 恋愛感情がなくて、
- 恋人がほしいとも思わなくて、
- 結婚なんてしたくないし、
- 子どもを持つことも考えられない
完全に自己完結している存在なんです。
単純に自分自身が恋愛や結婚を望んでいないから、おひとりさまでいるだけの話なんです。
だから同性婚のように、法律を変えたり、制度を拡充したりする必要はまったくないんですよね。
生きづらさを感じるのは、周りが「誰かを好きになるのは当然」「世の中の人間はみんな結婚したいと思っている」という前提で成り立っているからです。
いい人にまだ出会ってないだけだよ~
いやいや、そんなの強がってるだけでしょ
なんて言ってくる人たちがいなければ、だいぶ生きやすくなるはずなのです。
支援が必要なアセクシャルとは?
それでは支援が必要なアセクシャルはどんな人かというと、冒頭でも申し上げたように
- 恋愛感情はなくても、結婚はしたい
- パートナーはいらないけど、子どもがほしい
といった価値観を持つ人です。
自分の恋愛・性的指向が、一般的な異性恋愛をする人たちとかみ合わない人ですね。
また、恋愛感情はあるけど性的な関係は望まない「ロマンティック・アセクシャル(ノンセクシャル)」も同様の悩みを持っているでしょう。
世の中の大多数の人間は異性愛者であり、恋愛=性愛だと信じて疑わない人たちです。
- 仮にそういった人とアセクシャルがお付き合いをしたとしても、体の関係を結べなくて破綻してしまったり
- 結婚相談所や婚活アプリを利用しても、性行為なし・子どもなしといった条件でつまずいてしまったり
アロマンティック・アセクシャルやノンセクシャルの恋人探しは、なかなか難しいのが現状です。
ちなみに性行為なしを前提にした婚姻関係のことを「友情結婚」と言います。
「友情結婚」にスポットが当たり、支援の輪が広がっていけば、アセクシャルでも結婚できる人が増えてくるのではないでしょうか。
誰もがひとりで生きていける仕組みがほしい
私のように結婚・出産願望がなく、支援の必要もないアロマンティック・アセクシャルにも、世に望むことはあります。
「アセクシャルのための制度はいらないけど、ひとりで生きていける仕組みがほしい」です。
たとえば家を借りたり、入院したりするときには、身元保証人が必要になりますよね。
いくらお金があったとしても、保証人がいなければ断られてしまうことが充分に考えられるわけです。
世の中には「結婚しないお前が悪い!」「子どもを産まないのが悪い!」と思う人もいるのでしょうが、そんなことを言われても困ります。
それは異性愛者に対して「同性と結婚して性行為をしろ」と言っているようなものですから。
それに異性愛者の中にもいろいろな人がいます。
- 結婚や出産を望まない人
- 子どもに恵まれなかった人
- 家族仲が悪い人
- 配偶者や子どもに先立たれてしまう人
誰にだって天涯孤独になる可能性はあるんです。
ひとりでも生きやすい世の中を望むのは、アロマンティック・アセクシャルのわがままではありません。
ひとりでも安心して生きていける仕組みを作ることは、みんなのためになることなのです。
必要なのは「支援」ではなく「理解」
結婚・出産願望がないアロマンティック・アセクシャルは、基本的には困っていません。
単純に自分自身が恋愛や結婚を望んでいないから、独身生活をしている。それだけの話なので。
ひとりで生きていける仕組みさえあれば困らないんです。
それでも生きづらさを感じてしまう原因は、おひとりさまに対する世間のネガティブなイメージなんですよね。
こちらは結婚どころか恋愛願望すらないのに、人にまったく信じてもらえないのが困るんです。
悲しい話ですが、異性・同性愛者にとって、恋愛感情を持たないアロマンティック・アセクシャルは「ありえない存在」です。
こちらが恋愛感情を理解できないこと以上に、この世に恋愛感情がない人間がいることを理解してもらうのは難しいことです。
それはわかっていても、アロマンティック・アセクシャルの知名度と理解がもっと広まってほしいと思います。
そして、ひとりでも安心して生きていける世の中になれば、他の人だって生きやすくなるはずなんですよね。
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