私は恋愛感情を持たない性的マイノリティ「アロマンティック・アセクシャル」を自認しています。
これまでの記事では、恋愛できない私が過去に経験してきたことを順に書いてきました。
今回の記事は、私がアロマンティック・アセクシャルの自認にたどり着いた20代のお話です。
「恋愛感情がわからない」「私っておかしいのかな…」と悩んでいる方の参考になったらうれしいです。それではどうぞ!
初めて告白されたので男女交際について考えてみる
20代編といいつつ、19歳のときのお話です。
生まれて初めて告白をされました。
相手は同じ学校に通っている同い年の男友達です。
アロマンティック・アセクシャルの中には、他者から好意を向けられることに嫌悪感を感じる人もいます。
でも私は、告白自体には嫌悪感を感じませんでした。
- 告白をされても嫌じゃない=相手のことを好き、ということ?
- 小学生の頃から考えていた「いつか普通に恋愛ができるかも」の「いつか」がとうとう来たの?
- でもカップルになる姿がまったく想像できない…
私はどう答えるべきなのかがわからなくて、とても困ってしまいました。
今まで誰かを好きになったことがないし、恋愛感情がわからない…
結局こんな感じで、正直に相手に言ったのかな。
とにかく返事を保留にしてもらったんです。
そうして保留期間中はお互いに今まで通りに過ごしていましたが、一回だけデートをしました。
映画を見て、食事をして、まだ付き合っていないので手を繋ぐことすらしない、とても健全なデートでしたね。
しかしその日の帰り道に、彼から「いつまでも生殺し状態なのはつらいから、返事がほしい」と言われてしまいました。
私はこんなに早く返事を求められるとは思っていなかったので、予想外の言葉にとても驚きました。
でも相手にとっては、耐えきれないほどの長い時間だったようです。
彼に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
そして交際についてあらためて考えてみましたが、
- 恋人としてイチャイチャする姿が想像できない
- 友達への好意との違いがわからない
という気持ちに変化はなかった。
やっぱり彼とはただの友達でしかない…
そう結論づけて、正式にお断りすることにしました。
- 恋愛感情って一体なんなの?
- 誰かを好きになって、カップルになりたいという気持ちはどこから来るの?
子どもの頃から感じている疑問への答えは、告白をされて恋愛の当事者になっても見つけることができなかったんです。
オタクも普通に恋愛をすると気付く
初めての告白をお断りしてからは、お付き合いどころかデートすら一度もしませんでした。
告白や恋愛アピールを受ける機会は何度かあったものの、相手に変に期待を持たせてはいけないと思っていたので。
そんな中、社会人になって2年目くらいのときに、先輩社員が主催する女子会に参加しました。
参加者はみんな20代の独身OL。
彼氏の話題が出てくることは避けられません。
今カレの話だったり、フリーだから彼氏がほしいなって話だったり。
まぁ恋バナについていけないのは学生時代から変わってないので、その場はなんとかやり過ごしました。
そして後日、同い年のオタク友達と遊んだときに、その女子会のことを話題に出しました。
このとき遊んでいたオタク友達は、出会いこそネットだったものの、付き合い自体はそこそこ長い女子2人。
個人ブログはいつもチェックしていたし、実際に何度も会ったり遊んだりしていて、とても仲が良かった子たちです。
当時のオタク女子としての私は「恋バナする人は全員リア充!」というノリでした。
なので当然、彼氏の話題で盛り上がる先輩社員のことを「みんなリア充で困っちゃうよね~www」って感じで話していたんですよね。
しかし、相手のオタク友達は、
えっ、そんなの普通じゃん?
その一言で気付きました、オタクも普通に恋愛することに。
ネットやオタクの集まりでは「リア充爆発しろ!」って言ってるのに、みんな普通に恋愛しているんですよ。
いや、そもそも「リア充爆発しろ!」という言葉は嫉妬心から生まれたものです。
つまりオタクには恋愛感情があって、カップルのことをうらやましいと思っているわけです。
そして当時は、SNSもだいぶ普及してきた時代。
検索してみれば、私よりも濃いオタクが普通に結婚や出産をしている様子も、山ほど出てきます。
中学・高校時代から信じていた「オタクはみんな恋愛に興味がないんだ、きっと私と同じなんだ!」という幻想が、粉々に打ち砕かれた瞬間でした。
アロマンティック・アセクシャルを知る
オタクも普通に恋愛をすると気付いたことで、自分はなぜ恋ができないのかをネットで検索するようになりました。
いえ、それ以前にも検索をしたことはありましたよ。
でも「恋愛できない」「人を好きになれない」で調べてみても
- 今の生活に満足している
- 忙しくて余裕がない
- 理想が高すぎる
- 自己肯定感が低い
- 異性に対してトラウマがある
こんな感じの回答ばかり出てきてしまいます。
「恋愛したいのに、今は何らかの原因によって恋ができない状態」って、完全に恋愛感情があることを前提とした検索結果ですよね。
恋愛できないことや恋愛に興味がないことが、まるで悪いことのように書かれていると、すごく悲しい気持ちになりませんか?
学生時代にみんなの恋バナについていけなかったときの疎外感を思い出します。
こういった記事を書いている人には、きっと”普通に”恋愛感情があるのでしょう。
だからネットで検索をしても、結局は世間と同じ意見ばかりが並びます。
「そもそも恋愛感情がない」「恋愛への欲求がない」ことが、まったく想定されていないんですよね。
でもある日、ようやく「アロマンティック・アセクシャル」に出会うことができました。
これ!!!私がずっと探していたのはこれ!!!!!!
「誰かに恋愛感情を抱かず、性的に惹かれることもない」という定義がまずドンピシャです。
私が子どもの頃から悩んでいたことには名前がついていて、ちゃんと仲間もいたんだ…!
当事者のエピソードも共感できるものばかりで、自分だけがおかしい人間ではなかったんだなと、すごく安心したことを覚えています。
私がアロマンティック・アセクシャルを自認するまでの話のまとめ
ここまで書いてきたとおり、私は23~24歳でアロマンティック・アセクシャルの存在を知り、自認に至りました。
- どんなに考えても恋愛感情がわからない
- 自分が恋愛の当事者になるイメージがわかない
- 恋人がほしいという欲求もない
- 結婚出産=ハッピーエンドに納得できない
- 周りとの差が成長するごとに広がっていく
- 恋バナがとにかくつらい
- 「いつか普通に恋愛ができるかも」の「いつか」は大人になっても来ない
子どもの頃からこれだけ悩んで、いろいろ経験をしてきました。
そのうえで、アロマンティック・アセクシャルを自認しているのに
- 「まだ良い人に出会ってないだけだよ~」
- 「恋愛に興味がないって言ってる人ほど、早く結婚するんだよねぇ」
- 「えー、もったいない!」
- 「またまたぁ、隠してるだけなんでしょww」
って言ってくる人たち。
マジで余計なお世話なんですわ!!!!
もちろん相手に悪気はないことはわかっています。
世の中の99%の人には恋愛感情があって、無意識のうちに誰かを好きになっている。
普通の人にとっての恋愛は「え?生きてるんだから呼吸するのは当たり前でしょ?」って認識なんですよね。
そのため、アロマンティック・アセクシャルのことを周囲の人間に理解してもらうのは、正直とても難しいです。
そんな中で私がこのような記事を書いているのは、
- アロマンティック・アセクシャルの存在を、世に中に知ってほしいから
- 私自身がアロマンティック・アセクシャルを、もっと早く知りたかったから
です。
私はアロマンティック・アセクシャルという言葉に出会ったことで、心が軽くなりました。
同じように恋愛感情がわからなくて悩んでいる人の心が、この記事で少しでも楽になっていたらうれしいです。
もっと詳しくセクシャリティについて知りたい方は、本を読むのもおすすめです。
「見えない性的指向 アセクシュアルのすべて」では、アセクシャル以外のセクシャリティについても解説されているので、自分に一番近いセクシャリティが見つかるかもしれません。
「きみのせかいに恋はない」はアロマンティック・アセクシャルが題材のマンガ。すごく貴重!
コメント
こんにちは、最近アセクシャルという言葉を知り調べていた者です。あなたの書かれた記事の内容ひとつひとつに大変共感しておりました。小学生の頃は、「誰が好き?」の意味が分からず、取り敢えず好感の持てる異性の名前を挙げてヒューヒューと騒がれて「???」となり、その後も恋愛とはなんぞやが分からないまま30代になりました。2次元の推しは居ますが、あなたと同じく推しとの恋愛は考えられません。壁になって見ていたいだけです笑
アセクシャルという言葉を調べたのはほぼ興味本位で、あなたの記事を拝見するまで、自分にその可能性があるとは思いも依らず「もし良いと思う相手が居たなら性別は問わないからバイ?パンセク??」とか、ただの性的嫌悪か異性嫌悪(恋愛しないまま良くない経験や情報だけ蓄積してやや拗らせてる自覚あり)なのだろうかと悶々としていました。
まだ自分がAであるという結論を出すには早い気もしますが、ひとつの可能性にたどり着く事が出来ました。
ここ以外で語れる場所などなく、長々と自分語り失礼致しました。
このブログの作成及び体験談を記事にしてくださった事に、大変感謝致します。