「きょうだい児」が抱える問題と悩みとは?実体験を元に解説します

きょうだい児

私は重度知的障害者の妹を持つ「きょうだい児」です。

世の中の人たちは、障害者本人と親のことは気にしても、兄弟姉妹にはあまり関心がありませんよね。


一番つらいのは本人なんだよ!

あなたは元気に生まれてこれたんだから…
お母さんを支えてあげてね


こんな何気ない言葉にムカついたり、モヤモヤを抱えたり、悲しさや悔しさで泣きたくなったり。

「私だって、つらいことも悩みもたくさんあるのに…」

そう思っても親にも周囲の人にも言えなくて、生きづらさを感じている方も多いのではないでしょうか?

この記事では、そんな「きょうだい児」の問題点や悩みを、実体験をまじえて解説していきます。

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きょうだい児とは?

障害のある人の兄弟姉妹のことを「きょうだい児」と呼びます。

知的障害、身体障害、精神障害、それに医療的ケア児の兄弟姉妹にも当てはまる言葉です。

私が「きょうだい児」を知ったのは大人になってからなので、SNSなどが発達してきた頃にできた言葉なんじゃないかと思っています。

健常者である兄弟姉妹を意味する言葉がわざわざ作られたのは、それだけ悩みを抱えている人が多いからでしょう。

最近ではNHKの番組でも取り上げられたりして、少しずつ世の中に広まってきています。


きょうだい児の特徴と問題点

家族の中に障害を持った子がいると、日常生活にいろいろな問題が起きます。

  • 多動で1秒たりとも離せなかったり
  • パニックを起こしたり
  • 食事などに介助が必要だったり

どうしても手がかかるので、親はその子に付きっきりになります。

また、我が子の障害を受け入れきれなくて、精神的に不安定だったり余裕がなかったりする親もいるでしょう。

そのしわ寄せが「手が比較的かからない」健常の兄弟姉妹に来てしまうのは、ある程度は仕方がないことだと思います。


親が大変そうなことは、子どもながらに察していますからね…

きょうだい児は、常に我慢をしながら育っていきます。

その結果、きょうだい児は子ども時代を子どもらしく過ごすことができず、

  1. 親の代わりにきょうだいの面倒を見たり
  2. 勉強や運動を必要以上にがんばったり
  3. 家族、特にきょうだいから距離を置いたり
  4. 暴力などの問題行動を起こしたり

といった特徴を持つ人が多くなります。

①②は一見「よい子の優等生」なので、何も問題がないように思う人もいるかもしれません。

でも、やっぱりどこかで歪みは生じています。

私は①②に近いタイプなので実体験を元に言いますが、常に「○○ちゃんのお姉ちゃん」というフィルター越しで見られているのは、なかなかつらいものがあります。


お姉ちゃんがしっかりしてるから安心ね~

と大人たちに言われると、何だかモヤモヤするんですよね。

幼い頃は単純にうれしいと感じていたのかもしれませんが…、いつしか周囲の人たちにほめられても、素直に喜べなくなってしまいました。

そして、それは大人になった今にも影響を及ぼしています。


  • きょうだいの存在があるから過大に評価されている →自分には価値がないと思う
  • 「良い子」の自分しか見てもらえない →弱みや本音を外に出せなくなる

優等生タイプの①②は、こういった生きづらさに繋がっていくんですよね。


きょうだい児が抱える悩み

「普通」とは違う環境で育ってきたきょうだい児は、当然いろいろな悩みを持っています。


  • スーパーなどに行くと周囲の目が冷たくてこわい
  • 学校でバカにされる、いじめられる
  • 「きょうだいいるの?」と聞かれるのが怖い
  • 親に本音を言えない、いざというときに頼れない
  • きょうだいの件でネガティブなことを言うと、周りに説教される
  • 結婚出産に絶望的な気持ちを抱く
  • 自分だけがしあわせになることに罪悪感を抱く
  • とにかく将来が不安で仕方がない

特に多くのきょうだい児が悩んでいるのは「親亡きあと」のことではないでしょうか。

きょうだいの今後のことやお金のことを親と話し合うのは、なかなかハードルが高いですよね。


私自身もそうですが、いざというときに自分が一番困るとわかっていても、切り出す勇気がありません…


あと「きょうだいいるの?」と聞かれるのが怖いことも、”きょうだい児あるある”ですよね。

こちらは別の記事で詳しく書いているので、ぜひご覧ください。


障害を持つ「きょうだい」へ向ける感情

きょうだい児が障害を持つ兄弟姉妹に向ける感情はさまざまです。

「きょうだいが憎くて仕方がない!」と思う人もいれば、「きょうだいのことは自分が守る!」と思っている人もいます。

ここで注意すべきは、単純に「障害が重度だから嫌い!」となるわけではないということです。

軽度には軽度の、重度には重度の問題や悩みがありますからね。


  • 障害の特性
  • 自分が兄姉なのか、弟妹なのか
  • 親からの扱い
  • 障害児本人の性格
  • いじめや差別の経験

上記のようにいろいろな要因や環境が絡み合って、今のきょうだいとの関係に繋がっているんです。

私の家庭は父親にも問題があったため、生育環境にも経済面にも恵まれていなかったと思います。

それでも私が、重度知的障害をもつ妹を嫌っていないのは、その他の運や相性がたまたま良かっただけなんですよね。

それに、健常者同士の兄弟姉妹だって仲が悪かったり、絶縁したりする人はいるわけです。


なのに、きょうだい児は「きょうだいと仲良くしなければならない」なんて、おかしい話!


きょうだいが嫌いな人は、嫌いなままでいいと思います。

私は親不孝者と言われようが、父親のことが大嫌いです。

「家族なのに」ではなく、「家族だからこそ」つらいのに、手も金も貸してくれない他人に口だけ出されても説得力ありませんよね。


きょうだい児は生きづらい

ここまで書いてきたように、きょうだい児はたくさんの問題や悩みを抱えています。

それなのに、世間の関心は障害者本人と親にだけ向けられているのが現状です。


  • 療育施設や福祉関係のイベントに連れて行かれても、きょうだい児はただの置き物だったり
  • メディアやテレビ番組では、感動をあおるための道具にされたり

あなたは健常者なんだから、障害を持つきょうだいをサポートして当然よね!

という圧力が、きょうだい児をさらに追い詰めます。


そして子どもの頃からがんばって生きてきた分、大人になってからぽっきり折れてしまう人も少なくありません。

私もいろいろなことが重なって心が折れてしまい、二ヶ月ほど会社を休んだことがあります。

産業医との面談で「あなたがお母さんを支えてあげなきゃ」と言われたときは、頭が真っ白になりました。


自分がつらいから恥を忍んで助けを求めているのに、きょうだい児は「親を助けるよい子」じゃなければ価値がないの?

そんな風に思ってしまったんですよね。

世の中にもっと「きょうだい児」の存在が広まれば、このような無理解な言葉をかけられる機会は減るのかもしれません。

そうやって少しずつでもいいから、きょうだい児が生きやすい環境になっていくことを願うばかりです。

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